G20は「船頭多くして船、山に登る」、金融規制強化に踏み込めず [経済]

日米欧に新興国を加えた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は14日、世界同時不況を脱する決意を表明したが、野放しの金融資本の取り締まりを含む金融規制強化については踏み込めずに終わった。ただ、4月2日に予定されるG20の首脳会合(サミット)に向けては、租税回避地(タックス・ヘイブン)問題に動きが見られることや、米バッドバンク計画の詳細案発表なども予想され、今後はそれらの実効性に注目が移りそうだ。

 「今回のG20は船頭多くして船、山に登るという状態。米国が主張した財政刺激策GDP比2%規模は欧州と合意できず、金融規制強化については総論賛成、各論反対となった。震源地となった米国は4月の首脳会議に向けて宿題を課された」と東海東京証券チーフエコノミスト・斎藤満氏は分析する。  米財務省高官がG20会議の開催地である英国のホーシャムで明らかにしたところによると、同省は、金融機関の不良資産買い取りに向けた官民共同ファンド設立の詳細を1週間以内に発表するという。  「結果から類推すると、事前のすり合わせができていなかったようだ。G7にはG7Dのような事務方の事前調整機能があるが、G20は新興国も入って調整が難しかったのだろう」とJPモルガン証券チーフエコノミスト・菅野雅明氏は言う。  米国が主張した追加的財政出動については、ドイツのシュタインブリュック財務相が過度の景気刺激策は世界経済に深刻なインフレをもたらす恐れがあるとして退けた。

 <ヘッジファンド規制>

 租税回避地の存在や規制監督外の金融資本が、不平等を拡大し、ボラティリティの連鎖を生み、金融危機の引き金を引いたとの認識が世界的に広まったことを背景に、今回のG20は開催され、金融規制については何らかの結果が期待された。  しかし、会議の声明は「ヘッジファンドまたはそのマネージャーが登録され、そのもたらすリスクを評価するための適切な情報を開示すること」と「格付け会社が登録され、証券監督者国際機構(IOSCO)の基準への準拠すること」など登録制や情報開示にとどまった。  ヘッジファンド規制については、大陸欧州が前向き、米英が後ろ向きだが、対象となるヘッジファンド業界では自然淘汰が進行しており、金融市場での影響力も弱まりつつある。  著名投資家のジョージ・ソロス氏は、ヘッジファンドの運用額が最悪のケースで現在の4分の1の規模に縮小すると予想する。  2008年のピーク時には1.9兆ドル以上の総運用資産規模を誇ったヘッジファンド業界は、昨年は運用損失などで全体の2割程度にあたる3500億ドルの資産を失った。顧客はヘッジファンドの運用成績急低下で解約(資金の引き揚げ)を希望しているが、大手ヘッジファンドは相次いで解約停止をしている。


09年度成長率はマイナス4.7%=輸出、設備投資が大幅減-民間予測 [経済]

主要民間シンクタンク12社による2008-10年度の経済成長率予測が13日出そろった。実質成長率の平均は08年度が3.0%減、09年度が4.7%減。09年度については8社が2月時点の見通しから下方修正し、3社は5%台のマイナス成長を予想している。10年度は平均で0.7%増と小幅ながらプラスに転じるとみられている

東京マーケット・サマリー・最終(4日) [経済]

ドル/円    ユーロ/ドル   ユーロ/円
午後5時現在 98.80/85  1.2507/12  123.65/70
前日NY17時 98.13/17  1.2556/58  123.25/35

 午後5時現在のドル/円は、前日ニューヨーク市場の午後5時時点から上昇し98円後
半に水準を切り上げた。短期筋のドル買いが強まったためで、その後に4カ月ぶり高値と
なる99円台に乗せた。日中の取引では日経平均 が小幅高に推移したことや、日
本の政局不安が海外勢に意識されたことで円安が進んだが、午後には、日銀の須田審議委
員が、量的緩和とゼロ金利が現時点では必要だと思っていないことや、市場が待望する株
価対策について、「かえって歪みを引き起こす懸念がある」と表明したことなどをきっか
けに、若干円が買い戻される場面も見られた。一方、予想外のマイナス圏に落ち込んだ豪
国内総生産(GDP)を契機に豪ドル売り/ドル買いが加速、ドル買いがユーロ/ドルに
波及したことで、ユーロはテクニカルな節目とされていた1.25ドルを下抜けして3カ
月ぶりの安値を更新したが、夕刻になって買い戻された。


東京市場概況FX [経済]

3日の東京外為市場のドル・円は、ウォールストリートジャーナル紙報道「オバマ米政権、不良資産買取に向けファンド設立検討」、東京株式市場が下げ渋ったこと、米系ファンド筋の買いで96円99銭から97円75銭まで堅調に推移した。ユーロ・円は、121円73銭から123円77銭で推移。ユーロ・ドルは、1.2537ドルから1.2676ドルで推移。
オーストラリア1月の小売売上高が予想を上回り、豪準備銀行が政策金利を据え置いたことで、豪ドル・ドルは0.6432ドルまで上昇、豪ドル・円は、62円85銭まで上昇した。


米AIG のハイブリッド証券を「BB」に格下げ=フィッチ [経済]

米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG) の第4・四半期が617億ドルの純損失となり、米財務省と連邦準備理事会(FRB)が300億ドルの追加支援を行うと発表するなか、フィッチ・レーティングスは2日、同社のハイブリッド証券の格付けを引き下げた。  フィッチは、AIGに対する政府支援は依然として磐石で、今回の支援も同社の財務安定促進が狙いとする一方、ハイブリッド証券については支払い延期のリスクがあると指摘。ジュニア劣後・優先証券を5段階引き下げBBとした。  シニア無担保証券と長期発行体デフォルト格付けはAに据え置き、見通しは安定的とした。

 

住友重 がイオン注入装置製造の合弁を完全子会社化、130億円で [経済]

住友重機械工業 <6302> は26日、米アクセリス・テクノロジーズ(マサチューセッツ州)との折半出資会社「SEN─SHI・アクセリスカンパニー」(東京都世田谷区)を130億円で完全子会社化すると発表した。  SEN─SHI社は半導体製造装置の一種であるイオン注入装置のメーカー。合弁相手のアクセリス・テクノロジーズから住友重機に、保有するSEN─SHI社の株式50%と特許権、販売権を売却したいとの打診があったという

東京市場概況 [経済]

24日の東京外為市場のドル・円は、与謝野財務・金融・経済財政担当相による株価対策発言、95円オプションへの買い仕掛けで94円26銭から95円45銭まで上昇した。
ユーロ・円は、アジア筋の買いなどで119円40銭から121円66銭まで堅調推移、ユーロ・ドルは、1.2662ドルから1.2762ドルまで堅調推移した。
ポンド・ドルは、1.4452ドルから1.4578ドル、ドル・スイスは、1.1630フランから1.1714フランで推移した。


上海外為市場=人民元が対ドルで反落、1ドル6.8372元 [経済]

20日の上海市場の人民元の対米ドル相場は反落し、銀行間取引は1ドル=6.8372元で引けた。前営業日終値は6.8354元。  人民元の1年物ノンデリバラブル・フォワード(NDF)の対米ドル相場は0949GMT時点で6.9640元。  元の対円相場終値は100円=7.2857元(前営業日終値は7.3118元)。対ユーロでは1ユーロ=8.6080元(同8.6411元)。

白川日銀総裁記者会見の一問一答 [経済]

白川方明日銀総裁は19日、金融政策決定会合後に記者会見を行った。詳細は以下の通り。    ──本日の決定会合の内容、背景について。    (決定内容自体については省略)  「経済情勢については、既に前月の決定会合で、非常に厳しい情勢を想定して、景気は大幅に悪化しており、当面、悪化を続ける可能性が高いと判断した。今回は、この判断を維持した。先日公表された昨年10─12月期GDPも、こうした判断を裏付ける非常に厳しい数字だったと受け止めている。物価面では、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、石油製品価格の下落等を反映して、足元低下しており、春頃にかけては、需給バランスの悪化も加わって、マイナスになっていくとみられる。景気・物価の先行きについては、2010年度までの中心的な見通しとして、2009年度後半以後、国際金融資本市場が落ち着きを取り戻し、海外経済が減速局面を脱するにつれ、わが国経済も持ち直し、物価の下落幅も縮小していく姿を想定しているが、こうした見通しをめぐる不確実性は引き続き極めて高いと判断している」    「リスク要因については、先月の中間評価で指摘した点から変化はない。景気面では、第一に世界的な金融情勢や海外経済の動向、第二に、企業の中長期的な成長期待の低下に伴う設備や雇用の調整圧力、そして第三に金融と実体経済の負の相乗作用の強まり、という下振れリスクに注意が必要だ。物価面でも景気の下振れリスクが顕現化した場合や国際商品市況が下落した場合は、物価上昇率が一段と低下する可能性があるほか、企業や家計の中長期的なインフレ予想が下振れるリスクにも注意する必要がある。このように、わが国経済は、引き続き厳しい局面にあり、先行きも、世界経済の動向に大きく依存するなど、極めて不確実性が高い状況にある。日銀としては、わが国経済が物価安定の元での持続的成長経路に復帰していくために、今後とも中央銀行として最大限の貢献を行っていく方針だ」    ──ゼロ金利や量的緩和に踏み込むべきとの声もでているが、今後の金融政策のあり方について聞きたい。    「昨年秋以後、国際金融市場の緊張が高まり、世界的に経済情勢が悪化するなかで、各国とも自国の経済、金融市場や金融システムの状況を踏まえながら、金融財政両面で各種の対応を迅速に行ってきている。日銀もわが国の景気が急速に悪化し、金融環境が厳しさを増す中にあって、さまざまな措置を矢継ぎ早に実施してきていると思っている。無担保コールレート・オーバーナイト物については、昨年秋の0.5%から、現在は0.1%まで引き下げられている。この結果、オーバーナイトの金利だが、よくゼロ金利といわれる米国は、実はオーバーナイト物は現状0.2%程度だが、日本のそれは0.1%で推移している。短期金利の中のターム物は、やや高止まりを見せているとはいえ、米欧に比べて十分低い水準だ。LIBORといわれる市場金利をみると、直近で円が0.63%、ドルが1.25%、ユーロが1.90%だ。このように短期金利でも、日銀は非常に低い金利を実現している」    「金融市場の安定と企業金融の円滑化を図るため、さまざまな措置を講じている。金融市場の安定については、米ドル資金供給オペを各国と協調して実施しているほか、現在、欧州や米国では実施していない長期国債の買い入れオペも利用しながら、潤沢な資金供給を行っている。意外に認識されていない事実だが、FRBも欧州中央銀行も長期国債オペは行っていない。日銀は行っており、その増額も先般行った。企業金融の円滑化については、企業金融支援特別オペ、さらにCP買い入れの実施、あるいは社債の買い入れなど、中央銀行として異例の措置を含めて、さまざまな対応を行っている。本日の会合でも社債買い入れのスキームやCP買い入れ等の時限措置の延長を決定した。また企業の資金調達に関する安心感を確保するとともに、企業が実際に資金調達を行う、やや長めの金利の低下を促すことを狙い、企業金融支援特別オペを強化した」  「日本経済の落ち込みは急激かつ大きく、企業金融についても厳しい状況にあると判断しているが、今述べたような本行の対応や政府の施策等の効果があって、例えば、CP・社債のスプレッドはリーマン破綻以前に比べると高いものの、米欧に比べると低くなっている。米欧では伸び率が急速に低下している銀行貸出も、わが国では足元増加している。このように日銀は、政策金利の低下余地が限られる中で、金融面から実体経済を下支えしていくために、さまざまな工夫をしながら、金融市場の安定確保と企業金融の円滑化に努めている。今後とも、わが国経済が物価安定の元での持続的成長経路に復帰していくために、中央銀行として最大限の貢献を行っていきたいという気持ちで政策に臨んでいきたい」    ──社債の買い入れ決定の狙いは。    「最近の社債市場を見ると、信用スプレッドの拡大傾向が続いているほか、格付けの低い銘柄の発行が困難な状態が続くなど、市場機能が著しく低下した状態にある。こうした社債市場の機能不全は、企業金融全体のひっ迫につながっていくと思っている。日本銀行では、このような状況を改善するために、1月の会合で残存期間1年以内の社債の買い付けについて検討してきたが、本日こうした結果を踏まえて来月上旬から買い入れを開始することになった。日本銀行による社債の買い入れは、証券会社や投資家の社債売買を促進して、社債市場の機能改善を後押しする効果や、金融機関の貸し出し余力が拡大する効果を通じて、企業金融の円滑化に寄与すると考えている」     ──3点ある。短期国債の買い入れオペは現在、月1.6兆円ペースだが、この額を増やす可能性もあるのか。また、補完当座預金制度を続ける理由について。これを止めて売出手形だけでも十分機能するとの議論もある。最後にG7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)で中川前財務相の問題が起きたが、こういう記者会見の前に日銀の人間はアルコールを口にすることはあるのか。     「まず短期国債のオペについてだが、きょうの発表文に、これまでの流動性供給手段の活用と併せて、金融市場の安定確保と企業金融の円滑化に努めていくという趣旨の文章がある。要は短期国債のオペについて、いま買い入れを増額すると決めたということではない。短期の国債市場も含めて、さまざまな短期の金融市場の状況を見て、金融市場の安定化を確保する上で必要な措置を講じていくということだ」    「2つ目の当座預金の付利の話だが、開始したときも同じ質問があったので繰り返すことになるが、当座預金に対して付利をすることの趣旨は、積極的な資金供給を行うためにこの措置を入れた。もし、当座預金の付利制度がないと、その段階でオーバーナイト金利がゼロに張り付いてしまい、その結果、短期金融市場の機能がその分、阻害されていく。もし、当座預金に付利がされていると、当座預金の金利を誘導目標金利に合わせる形で実現しつつ、一方で積極的に流動性供給を行えるというメリットがある。そういう意味で、現在の状況の下で、必要な金融機関・市場参加者に対して、流動性を積極的に供給する上で、この付利制度があった方が望ましい」    「売出手形との関係だが、もちろん売出手形も資金吸収はできるが、当座預金付利では達成できるものが、売出手形ではいくつか達成できないものもある。例えば、時間の関係。それから、当座預金付利制度の方は金融機関が幅広く対象になってくるが、売出手形の場合には売出手形のオペ相手先となってくる。それから、売出手形には期間というものがある。そういうことを考えると、売出手形はこれはこれで非常に便利のいい手段なのだが、売出手形と当座預金付利を合わせて使った方がいいということ。ちなみに欧州の中央銀行は当座預金付利制度を持ち、併せて日銀のいう売出手形に近い制度も持っているということで、多くの中央銀行で両者を併用している」    「3問目については、私は実はお酒が大変弱いもので、あの日も私はジュースを飲んでいた」     ──不確実性が極めて高いというのは、7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)などの影響か。    「G7会合で認識が変わった訳ではない。従来から使っており、深い意味はない。目標金利をゼロに引き下げることについては、以前の議事要旨にあるように、そうした見解の委員もいた。きょうの議論は詳しく議事要旨でみていただきたい。議論としてはなかったと記憶している」    ──これまでの数カ月をみていると、例えば社債について言えば、前回会合のときに買い入れ決定のアナウンスがあって、今回正式決定となっている。アナウンスがあって、その後決定というプロセスが取られれていたというのは市場との対話という観点もあると思うが、今回はそういう宿題めいたものが出ていないと見受けられる。それは緊急的にならなければいけないことはやり尽くしたということを意味するのか。    「社債の買い入れは中銀として極めて異例の措置なので、そもそも社債の買い入れを行うことについて、いろいろな意味で実務的に詳しく知る必要がある。総論的に政策論を議論するときには詳しい実務的な知識がなくても大丈夫だが、しかし、実際にオペを行うという具体的に、業務になってくる。そのためには社債市場の細かな実務を含めてて知る必要があるし、市場参会者の意見を収集する必要がある。そうしたことから検討の時間を要したということ。今回、検討の指示という形で出してないから、もう政策手段が尽きて、もうこの後に何も出てこないということでは

ない。中銀として現在の厳しい経済・金融情勢に照らして、何が中銀としてできるのか、どのような政策対応が望ましいのか、これは常に考えている」    ──ということは、発表のやり方の転換を考えているとか、そういうこととは違うのか。    「そういうこととは関係ない」     ──市場では、今回決められたシングルA格よりも下の社債、年限についてもより長い社債を買って欲しいという声があるが、決定の理由は。今後、市場の声に応えて一歩踏み込む可能性についてどの程度考えているのか。     「前回、CPの買い入れを含めて企業金融にかかる債務の買い入れについて、基本的な考え方を公表した。中央銀行として、このような信用リスクを直接負担するというオペレーションは異例なことになる。こうした異例な措置をとるために2つのことを考え、その2つのバランスをとっているということである。1つは現在の経済・金融情勢に、経済、物価安定の下での持続的な成長、あるいは金融市場の安定という中央銀行の使命達成が必要ということである。そのような下で必要であれば、異例ではあっても政策手段を講じていくということは、もちろんありうるわけだが、それは経済・金融の情勢の厳しさというものに依存すると思う。一方で、この信用リスクを直接負担するということは、損失が発生をする可能性があるということを意味する。損失発生の可能性あるいは大きさは、格付け、信用度を下げていけばいくほど、期間を長くすればするほど大きくなってくるという関係にある。中央銀行が損失を計上した時に、第一次的には中央銀行の財務基盤に影響してくるということであるが、それと同時に国民から見て中央銀行に対する広い意味での信認に対しても影響してくるということになる。(以下省略)」     「この点については、どの中央銀行も同じような問題に直面しているというように思う。(中略)イギリスをみてみると、短期のCP、長期の社債をいずれも買い入れるということに踏み切ったが、これはオペレーション的にはイングランド銀行が行っているが、損益は全て政府に従属するということで始めていた。アメリカについては、短期のCPは連邦準備理事会(FRB)が購入する。しかし、今月から始まる資産担保証券(ABS)、消費者ローンやオートローンなどが組み込まれた(銘柄の)期間は3年だと思うが、ABSの買い入れについては政府が損失を負担するという形で今回始まった。先だっての発表で金額が拡大して、確か1兆ドルとなるが、そのうち損失発生の最初の1000億ドルは政府が負担するということで今回始まった。欧州中央銀行は、現在のところCPも社債も買い入れは行わないというように言っている。どのやり方が良いかは、先ほど申し上げたようないろいろな状況の中で考えているというように思う。日本銀行としては、先般公表した基本的な考え方に則して適切に対応していきたいと思っている」    ──日銀も政府保証があれば大胆に民間リスク資産を買い入れることができるとおっしゃりたいのか。政府に対してそうした働きかけを行わないのか。    「中央銀行としてその政策が必要であるとの判断があるわけで、政府保証があれば何でもというのではない。政府に対して理解を得ていくのは大事なことだと思う。先月発表した基本的考えの中にもそうした主旨が入っている」    ──具体的に保証するかどうか細かく大事な事柄について、政府と交渉することは考えていないのか。    「経済政策について必要な意見の1つと日銀法にもうたっている。このことに限らず常日ごろから必要なことは行っている」     ──G7での記者会見についてだが、総裁はジュースを飲んで臨まれたということだが、隣に座っている中川前財務相はろれつが回らない状態であった。これについて総裁としてどのように受け止めているのか。また、ああいった会見が行われたことで、日本の経済・政策運営の信頼が失墜したとの見方がある。これについてどう受け止めているのか。     「中川前財務相の今回の辞職の件については、大変重たい決断をされたと受け止めている。私の立場でこれ以上、コメントを申し上げることは差し控えたい」    ──冒頭で企業金融に関して、実際に企業が資金調達するやや長めの金利の低下を促したいということだが、2001年から06年にかけての量的緩和とゼロ金利の時代は、銀行間金利は0.1%だった。今は利下げしたのにもかかわらず、LIBORでは0.6%、TIBORでは0.7%となっている。ゼロ金利にすることは市場機能の維持ということで反対されているが、オーバーナイト金利を0.1%にすることによって、緩和効果が浸透していないように見える。このあたりのメカニズムをどうみているのか。     「いまLIBOR、TIBORについて言及があったが、TIBORというものがどういう要因を反映して決まっているのかということを考えてみる必要がある。これは概念的に整理をしてみると3つあると思う。1つは金融機関の感じる流動性リスク。2つ目は金融機関が資金を放出する先の相手先に対するクレジットリスク、3つ目は金融機関が認識する企業のクレジットリスク。この3つがTIBORにあって、TIBORあるいはLIBORの、特にTIBORの場合はそうだと思うが、金利水準が決まってくる。現在、どういう要因でTIBORが高止まっているのかということを考えると、金融機関の間でクレジットリスクについて非常な警戒感があるとは認識していない。金融機関の流動性リスクと金融機関が認識する企業のクレジットリスクが高止まりにつながっているのだろうと思う。今回の企業金融支援特別オペは、そうした流動性リスク、それから金融機関が感じる企業のクレジットリスクに対して働きかけていく効果があると思う」    「これは日本に限らず、他の国はもっとそうだが、こうしたクレジットリスクにかかる部分については、中銀のオペだけで変えられるものではない。経済の状況があって、そうした評価につながっている。中銀がオーバーナイトの金利を下げること自体によってたちどころに下がってくるというものでは、なかなかない面もある。ただし、この流動性リスクなり、信用リスクの絡み方は非常に複雑なものなので、多少手探りのところはある。欧米もずいぶんと金利を下げ、流動性を供給しているが、日本以上にLIBORが高止まっているということになっている。いま申し上げたような問題に欧米は日本以上に直面しているということだと思う」     ──CP買い取りを半年延長する意味合いは。まだ異常な経済状態が続くと見ているのか。10─12月期GDPはショッキングな数字だったが、総裁は1─3月、4─6月はさらに悪化すると見ているのか。中川前財務相は、G7の会議ではしっかりと受け答えしていたのか。    「企業金融をめぐる状況が大変厳しい。現在の経済の厳しさ、足元の金融市場動向を考えると、しばらくこの状況が続くと思う。もちろん、後から振り返って見ると、向こう半年で大きく改善することがあるかもしれないが、今は企業や金融機関にしても不確実性が非常に大きい。この不確実性を取り除く、少しでも軽減することが大事。異例の措置ではあるが半年間延長する」    「10─12月期GDPは今回は第1次だが、2次QEで改善の可能性がある。原材料在庫が積みあがっているが、これは在庫投資という形になるので、最終的にGDP計算上はプラス項目になってくる。今回の第1次では十分に取り上げられていないので、2次QEでは多少マイナスが小さくなる可能性はあるが、いずれにせよ非常に大きなマイナスであることは変わりない。私自身は1─3月も厳しい姿を想定している。4─6月に入ると一部の企業の在庫調整が進展し、減産幅が小さくなってくると言う企業もあるが、そこは不確実性が高い。1─3月と4─6月GDPは、私自身は厳しい姿を想定している」    「G7本会合での中川前大臣の発言だが、議論について私から詳しく申し上げることではないが、日本経済の現状、政府が採ってきた事について説明されると同時に、特に主要国が経済・金融の安定のためにどのような行動を取っていくのかを議論するのが大事だと強く述べていた。保護主義の台頭を防ぐ必要があると大変強く主張されていたのが印象に残った」    ──G7会合の昼食会で中川前財務相が中座をしたとのことだが、総裁は最後まで参加したのか。2点目は日本の代表はこうした会合に出席しているわけだが、中座することはよくあることなのか。あるいは最後まで出席する方が珍しいのか。    「G7の本会合は確か午後1時50分くらいに終わったと思う。会合はここで終わって、そのあと任意参加で昼食会に出られる方はどうぞということで昼食会があった。私自身は昼食会に参加して、それで最後デザートまで食べて、コーヒーは確か飲まなかったと思う。みてみると、みなさんそれぞれG7会合が終了したあと予定があるようで、かなりの人数が途中で会場を去っていった。これはG7の本会合の昼食会ではなくて、本会合が終わった後の任意の昼食会で、多くの人が途中で出て行った」    ──今の日銀の政策をどう定義するか。日銀は企業金融支援と位置づけ、潤沢な資金供給を続けるという方針を示し、そのために付利の制度も継続している。この政策について、市場では事実上の量的緩和ではないかとの声もある。どう考えるか。また、FRBは信用緩和をとっている。これと日銀の政策は似たような部分もかなりあると思うが、どのような点が違うのかについて教えて

ほしい。    「現在の日銀の金融政策をどういう言葉で表現できるのかについては、なかなか一言では表現しにくいと感じる。米国についてもいまクレジット・イージング(信用緩和)という言葉を使われたが、確かにある側面はクレジット・イージングだが、全体がクレジット・イージング一色で染まっているかというと必ずしもそうではない。一言で表現するのはやはり難しい。そういう経済の情勢にいま陥っているという感じがする。いろいろな概念整理が可能だと思うが、私自身は3つの柱から成っていると思う。1つは政策金利を引き下げる、現在は0.1%まで引き下げる。それから2つ目は金融市場の安定を維持すること。これは必ずしも狭義の金融政策だけではないが、最後の貸し手として資金を供給する、あるいは通常のオペでも潤沢に資金を供給していくことが含まれる。3番目はCP市場がその典型だが、金融市場の機能が低下し、企業金融が全体としてひっ迫をきたすというときに、その金融市場に対して中銀が働きかけていくという政策、この部分は確かにクレジット・イージング、信用緩和という言葉が近いのかなという感じがする」    「量的緩和との違いについては、量的緩和をどういう政策と定義するかにたぶん答えは依存していると思う。かつて日銀が採用した政策、あるいはそれとイコールだが、海外のいろいろな学者が提案した量的緩和というのは当座預金の残高なり、あるいはマネタリーベースを増やすことによって経済活動が刺激されていくというもの。そう考える場合には、当座預金残高なり、あるいはマネタリーベースの残高に目標を設定して、それを実現していくように政策を展開していくというのが純粋な意味での量的緩和だろうと思う。その意味では、現在FRBも日銀も量的緩和は採用していないと思う」    「一方で、先ほど申し上げた第2、第3の柱を実現していく上で、これは中銀はオペで量を供給していくわけなので、結果として当座預金残高が増えるという面はもちろんある。そのめんをとってみれば、確かに量は増えているが、その思想は先ほど申し上げたような意味で異なっていると思う」     ──中川前財務相は、G7本会合での発言と、会見での発言で、口調に違いがあったか。    「記者会見では、これは国会でも言ったが、体調が悪いのかな、という感じの発言ぶりだったが、本会合では、しっかりと発言していた」


中国におけるデフレ、懸念する理由はない=樊綱・中銀金融政策委員 [経済]

中国人民銀行(中銀)金融政策委員の樊綱氏は16日、中国におけるデフレは、商品・エネルギーの輸入価格の下落を反映するものであるため、懸念する理由はない、との見解を示した。  同委員は経済フォーラムに出席し、商品・エネルギーの輸入価格の下落は生産コストを引き下げ、ひいては消費者需要の喚起につながると説明。「コスト要因で引き起こされるデフレと、国内需要の低減が原因のデフレの間には明確な違いがある」と述べた。  中国の消費者物価指数の1月の上昇率は前年同月比1.0%にとどまり、エコノミストの間では、2月にも同指数は対前年比で下落に転じるとの見方が広がっている。一方、生産者物価指数は1月に同3.3%低下し、生産サイドでは既にデフレが始まっていることが裏付けられている。  また樊委員は、米ドルは今後10─20年は世界の基軸通貨としての地位を保ち続けると予測。世界の国際通貨秩序に当面は大きな変化はないとの見通しを示した。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。